かつて日本経済新聞社によるサイクリングロードランキングで一位を獲得したメイプル耶馬サイクリングロード。日本三大奇勝、日本新三景のひとつに数えられる耶馬渓の景観の中を走ることができる九州屈指のサイクリングロードです。
ご紹介するのは、JR九州の久大本線日田駅から歴史国道日田往還を辿ってメイプル耶馬サイクリングロードにアプローチする日田往還ルートと、JR九州日田彦山線の彦山駅(※)から英彦山を超えて山国川の源流域の奥耶馬渓からメイプル耶馬サイクリングロードにアプローチする奥耶馬渓ルートです。日田往還ルートは伏木峠(409m)、奥耶馬渓ルートは野峠(830m)を超える山岳ルートです。
※九州豪雨の影響で現在日田彦山線の添田ー夜明間は運転を見合わせているため、添田駅までした輪行することができません。従って奥耶馬渓コースは添田駅からのスタートになります。
JR九州久大本線の日田駅から日田往還でメイプル耶馬サイクリングロードの山側の起点となるコアやまくにを目指します。日田往還は大分県日田市から中津氏を結ぶ国道212号線の旧道で、現在は県道720号線として整備されています。日田往還の出発点となる日田の豆田町から伏木公園までのおよそ10キロメートルは、国土交通省に歴史的文化価値が認められて歴史国道に指定されています。
走行距離 | 54.4km |
所要時間 | 5時間 |
獲得標高(上り) | 438m |
獲得標高(下り) |
495m |
最大標高差 | 404m |
歴史国道日田往還の出発点となる廣瀬淡窓の私塾「咸宜園」のある淡窓から、伝統的建造物群保存地区がある豆田町まで歴史的風情を感じさせる街並みが続きます。
豆田町を抜けて大分道の下をくぐると、9km先の伏木峠を目指して標高差300mの山道に分け入っていきます。伏木峠を越えると視界が開けて田園風景が広がり始めたら、メイプル耶馬サイクリングロードの出発点となるコアやまくにまで、殆どペダルを回すことなく下っていくことができます。
JR九州日田彦山線の彦山駅(※)から、国道500号線で野峠まで上ります。野峠からは国道496号線で山国川源流域の奥耶馬渓を抜けてメイプル耶馬サイクリングロードの山側の起点となるコアやまくにを目指します。
※JR九州日田彦山線は九州豪雨の影響で添田ー夜明間の運転を見合わせているため添田からスタートすることになります。
走行距離 | 68.7km |
所要時間 | 5時間 |
獲得標高(上り) | 800m |
獲得標高(下り) | 935m |
最大標高差 | 830m |
かつて修験者の修行の場だった英彦山。国道500号線を上り始めて鍛錬大橋を渡ると標高差638m、距離13.9kmの野峠越えの始まりです。途中には修験道の道場として栄えた英彦山神宮と大天狗が祀られている高住神社があります。野峠の苔むした切通を越えれば奥耶馬渓です。
激しい水の流れが長い年月をかけて造り上げた無数の甌穴が2kmに渡って連なる猿飛千壺峡。その先には細く深く切り立った谷の中を水が激しく流れる魔林峡。奥耶馬渓には奇勝と呼ばれるに相応しい景色が続いています。
中津山国自転車道(通称:メイプル耶馬サイクリングロード)は、かつて山国川沿いを走っていた大分交通耶馬渓線(耶馬渓鉄道)の線路跡地を利用してつくられたサイクリングロードです。日本三大奇勝に数えられる耶馬渓の中を行くメイプル耶馬サイクリングロードには、至るところにトンネルや切通があって、神秘的とさえ思える光景に巡り合うことができます。
サイクリングロードには今でも随所に旧耶馬渓鉄道の駅が残されています。下郷駅と耶馬渓平田駅は休憩所として利用されていますが、白地駅はホームの上に民家が立てられていたります。
近代土木遺産に指定されているメイプル耶馬サイクリングロードの象徴的でもある第二山国川手鉄橋。かって耶馬渓鉄道が走っていた鉄橋を自転車で渡ることができます。
道の駅耶馬トピアの少し先には、日本三大五百羅漢の一つに数えられる羅漢寺があります。断崖絶壁にへばりつくように建つ羅漢寺はそれだけでも十分に見応えがあります。
道の駅耶馬トピアの標識がある交差点を通り過ぎて山国川の対岸に青の洞門が見えてきます。最後の見どころの耶馬渓橋、通称オランダ橋まで来ると、メイプル耶馬サイクリングロードの旅も終わりが近づいてきます。専用道路型の自転車道は、オランダ橋から数キロ先の野路までで、その先からゴールの中津駅までは車道併設型の自転車道を走ることになります。
メイプル耶馬サイクリングロードのゴールの中津にも、NHKの大河ドラマになった豊臣秀吉の軍司黒田官兵衛の居城の中津城や、福沢諭吉の生家があります。時間に余裕があれば立ち寄ってみたらいかがでしょうか。